第7章 商品カテゴリ別に見るOMOの相性

JASEC 日本イーコマース学会

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第7章 商品カテゴリ別に見るOMOの相性

第7章 商品カテゴリ別に見るOMOの相性

  • 4月14日
  • 読了時間: 6分

 OMOは業態単位で一括りに語るよりも、「どの商品カテゴリがオンラインと店舗のどちらに適しているか」という観点で整理した方が、実務に落とし込みやすい。ドラッグストアとホームセンターでは、取り扱う商品の性質が大きく異なるため、カテゴリごとにオンラインと店舗の役割分担も異なる。本章では、マツキヨココカラ&カンパニーやツルハホールディングスといったドラッグストア、カインズやDCMホールディングスといったホームセンターの取り組みを踏まえ、商品カテゴリ別にOMOの相性を整理する。



① 日用品・食品:ドラッグストアOMOの基盤

 ドラッグストアにおけるOMOの基盤となるのが、日用品・食品カテゴリである。これらは消耗頻度が高く、価格や在庫の確認ニーズが強いため、「オンラインで確認し、店舗で購入する」という行動が自然に発生する。

 マツキヨココカラでは、アプリや会員基盤を通じて購買履歴やクーポン情報を提供し、来店前の意思決定を支援している。ツルハホールディングスにおいても、日用品・食品・衛生用品などの幅広い商品を扱い、アプリを通じてポイントやクーポン、決済機能を提供することで、来店頻度の高い購買行動を支えている。

 これらのカテゴリでは、オンラインは「在庫確認・価格確認・購買計画」を担い、店舗は「まとめ買い・即時入手」を担う構造が成立している。特に日用品はリピート性が高いため、オンラインと店舗が連動した「習慣的な購買ループ」が形成されやすい。



② 医薬品・健康食品:「信頼」と「情報」が鍵となるカテゴリ

 医薬品や健康食品、サプリメントは、情報量が多く、信頼性が求められるカテゴリである。このため、オンラインと店舗の連携が特に重要になる。

マツキヨココカラでは、アプリやECを通じて商品情報やヘルスケア関連コンテンツを提供し、来店前の理解を促進している。一方、店舗では薬剤師やスタッフが対面で説明や相談を行い、最終的な意思決定を支援する。

 ツルハホールディングスも、調剤機能とアプリを組み合わせることで、処方せん受付や健康情報の管理をオンラインで行い、店舗での受取や追加購買につなげている。これにより、「情報取得はオンライン、信頼確認は店舗」という役割分担が成立している。

このカテゴリでは、オンラインが「知識の補完」、店舗が「信頼の担保」を担う構造が、OMOの中核となる。



③ 化粧品・インナー:「比較」と「体験」の分業

 化粧品やインナーは、個人差が大きく、実際に試すことが重要なカテゴリである。そのため、OMOは「オンラインで比較し、店舗で試す」という流れが基本となる。

 マツキヨココカラでは、商品レビューや情報提供を通じて、来店前に候補を絞る環境を整えている。店舗では、テスターや接客を通じて、自分に合うかどうかを確認できる。

 ツルハホールディングスにおいても、化粧品や関連商品の販売において、オンライン情報と店舗体験を組み合わせる形が取られている。オンラインは「選択肢を広げる場」、店舗は「最終判断の場」として機能する。



④ DIY・工具・建材:ホームセンターのプロジェクト型OMO

 ホームセンターにおいては、DIY資材や工具、建材などのカテゴリがOMOの中心となる。これらは専門性が高く、組み合わせや使用方法の理解が必要なため、オンラインと店舗の役割分担が明確である。

カインズでは、ECサイトやアプリを通じて在庫検索や商品情報の提供を行い、来店前の準備を支援している。店舗では、実物確認や相談、施工アドバイスを通じて、顧客の課題解決を支援する。

 DCMホールディングスも同様に、オンラインでの商品検索と店舗での相談・提案を組み合わせた運営を行っている。特にDIY関連商品では、オンラインが「計画」、店舗が「実行」を担う構造が明確である。



⑤ 園芸・防災・ライフライン:季節性と備えのカテゴリ

 園芸や防災関連の商品は、季節性や突発需要が強く、OMOの活用が効果的なカテゴリである。

カインズやDCMホールディングスでは、防災用品や園芸用品について、オンラインでの情報発信と店舗在庫の連動を行っている。オンラインは需要喚起や情報提供を担い、店舗は実物確認と購入の場となる。

 特に防災カテゴリでは、オンラインで「備えの必要性」を認識し、店舗で具体的な商品選定を行う流れが生まれる。園芸についても、施工例や利用シーンをオンラインで確認し、店舗で具体的な商品を選ぶという構造が定着している。



⑥ カテゴリ別に見る「オンライン主導型」と「店舗主導型」

 以上を整理すると、OMOはカテゴリごとに「オンライン主導型」と「店舗主導型」に大別できる。

オンライン主導型は、日用品、食品、医薬品、健康食品、化粧品などで、来店前の情報収集や在庫確認が購買行動に大きく影響するカテゴリである。これらはオンラインで意思決定を進め、店舗で購入を完結する構造が強い。

 一方、店舗主導型は、DIY、工具、建材、園芸、防災などで、実物確認や相談が不可欠なカテゴリである。オンラインは候補選定や準備を担い、最終的な判断は店舗で行われる。



⑦ まとめ:OMOはカテゴリ別設計が前提になる

 OMOの設計は、業態単位ではなく、商品カテゴリ単位で考える必要がある。ドラッグストアでは、日用品や医薬品などのリピート性の高い商品を中心に、オンラインと店舗が連動した購買サイクルを構築している。一方、ホームセンターでは、DIYや建材などの専門性の高い商品を中心に、オンラインでの計画と店舗での実行を組み合わせた構造が定着している。

 OMOは単なるチャネル統合ではなく、商品特性に応じてオンラインと店舗の役割を最適化する取り組みである。カテゴリごとの適合性を見極めることが、実効性の高いOMO設計の前提となる。





参考文献

■ 業界構造・カテゴリ特性(ホームセンター/ドラッグストア)

東洋経済オンライン

ホームセンター市場規模・競争構造https://toyokeizai.net/articles/-/932273→ 国内ホームセンター市場は約4兆円規模で横ばい、競争激化・異業種(ドラッグストア等)との競合が進行

ビジネス+IT(流通アナリスト記事)

ドラッグストア業界の競争構造https://www.sbbit.jp/article/cont1/164832→ ドラッグストアは上位企業中心に再編・競争が激化している

■ 企業別:ドラッグストア

マツキヨココカラ&カンパニー

※アプリ・会員基盤・データ活用・ヘルスケア連携

ツルハホールディングス

公式サイト(事業・DX・アプリ)https://www.tsuruha-hd.com/company/group/groupinfo/

※調剤併設、アプリ活用、商品構成(食品・日用品・医薬品)

サンドラッグ

※アプリ、接客DX、調剤連携

コスモス薬品

※地域密着モデル、食品・日用品強化

■ 企業別:ホームセンター

カインズ

※DIY・園芸・防災・生活提案型売場

DCMホールディングス

※DIY・PB商品・データ活用・店舗再設計

コーナン商事

※DIY・園芸・建材・プロ向け商品

■ OMO・購買行動(理論補強)

Omnichannel(BOPISモデル研究)

→ オンライン購入+店舗受取(BOPIS)が来店行動に影響

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