次月10時間の捻出から──人材不足でも回せる「やらないことリスト」と業務整理術

JASEC 日本イーコマース学会

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次月10時間の捻出から──人材不足でも回せる「やらないことリスト」と業務整理術

次月10時間の捻出から──人材不足でも回せる「やらないことリスト」と業務整理術

  • 2月25日
  • 読了時間: 5分

「やらないこと」を決めるのが最大の効率化

EC運営では、商品登録、在庫管理、受注処理、顧客対応、マーケティング、分析など、対応すべき業務が多岐にわたります。すべてを自社で完璧にこなそうとすると、結果としてすべてが中途半端になり、慢性的な業務過多に陥りやすくなります。

特に人材が限られる中小ECにおいては、「何をやるか」よりも「何をやらないか」を明確にすることが、最も効果の高い効率化施策になります。

EC運営支援企業のガイドでも、人手不足を乗り越えるためには「コア業務と非コア業務の切り分け」と「段階的な業務改善」が重要だと指摘されています。すべてを内製化するのではなく、自動化・アウトソース・統合を通じて業務を減らすことが、持続可能な運営につながります。

本稿では、実際の事例をもとに、「月10時間の捻出」から始める業務整理術を解説します。



事例1:健康・美容通販企業──システム統合による業務削減

ある健康・美容系通販企業では、複数のシステムを併用していたため、データ連携や個別カスタマイズに多くの時間がかかり、業務の複雑化と残業の常態化を招いていました。

この企業が最初に行ったのは、「不要なシステムを維持することをやめる」という決断です。

具体的には、

  • 個別システムごとのカスタマイズ運用を停止

  • 手動でのデータ連携を廃止

  • 統合可能なEC基幹システムへ移行

を実施しました。

その結果、業務効率が大幅に向上し、残業時間の削減と売上拡大への対応が可能になりました。


学び

システムの数を減らすことは、単なるIT整理ではなく、業務工数そのものの削減につながります。「自社に合わせてカスタマイズする」ことをやめ、「標準機能に業務を合わせる」発想が重要です。



事例2:自然食品通販企業──手入力業務の削減による効率化

自然食品を扱う通販企業では、電話注文の内容をオペレーターがすべて手入力していたため、処理時間が長く、新人教育にも時間がかかる状況でした。

この企業が実施したのは、「手入力を前提とした業務をやめる」ことでした。

具体的には、

  • 直感的に操作できるシステムへ移行

  • 現場で設定変更が可能な仕組みを導入

  • 手入力処理の大部分をシステムで代替

を進めました。

その結果、作業効率が向上し、新人教育期間も大幅に短縮されました。


学び

「人が完璧に処理する」ことを前提にせず、「システムに任せる」設計に切り替えることで、教育コストと作業時間を同時に削減できます。



事例3:ゴルフ用品通販企業──在庫確認業務の削減

ゴルフ用品を扱う通販企業では、電話での在庫確認や手動での伝票作成に多くの時間を費やしていました。

この企業は、

  • 電話での在庫確認をやめる

  • 在庫情報をリアルタイムで公開

  • 商品情報管理をシステムに統合

という方針に切り替えました。

その結果、電話対応が減少し、受注処理の効率が向上しました。


学び

「すべてを人が確認する」運用をやめ、顧客が自ら確認できる仕組みを整えることで、業務負担を大幅に削減できます。



事例4:受注処理自動化による劇的な業務削減

あるEC事業者では、受注処理に1日8時間を費やしていました。

この企業は、

  • CSV処理の手作業を廃止

  • 配送ラベル生成を自動化

  • 受注データ処理をシステム化

することで、作業時間を30分まで削減しました。

削減された時間は、商品企画や顧客対応などの付加価値の高い業務に再配分されました。


学び

定型業務は「効率化する」のではなく、「やめる(自動化する)」ことで、最大の効果を得られます。



事例5:アウトソーシングとDXによる業務再設計

EC支援企業の事例では、人手不足を克服した企業は次の3つの方法を組み合わせていました。

  • マニュアル化による業務標準化

  • カスタマーサポートや物流のアウトソーシング

  • RPAや自動化ツールの導入

重要なのは、「すべてを自社で抱え込まない」ことです。

コア業務(商品企画、ブランド構築、マーケティング)に集中し、それ以外の業務は外部化・自動化することで、効率的な運営が可能になります。



「やらないことリスト」を作るための5ステップ

ステップ1:すべての業務を可視化する

まず、日々の業務をすべて書き出します。

  • 商品登録

  • 受注処理

  • 在庫管理

  • 顧客対応

  • マーケティング

  • 分析

それぞれについて、

  • 作業時間

  • ミス発生率

  • 売上への影響度

を整理します。


ステップ2:「やらないこと」を決める

次に、以下の観点で業務を分類します。

やめる

  • 手動のCSV処理

  • 重複作業

  • 低付加価値の手作業

自動化する

  • 受注処理

  • 在庫更新

  • 配送ラベル作成

アウトソースする

  • 物流

  • カスタマーサポート

  • 広告運用


ステップ3:ツールとサービスを導入する

例えば、

  • EC一元管理システム

  • RPAツール

  • チャットボット

  • 物流代行サービス

などを活用します。


ステップ4:ルール化して定着させる

「やらない業務」を明文化し、全員で共有します。

業務を属人化させないことが重要です。


ステップ5:捻出した時間を売上につながる業務へ再配分する

削減できた時間は、

  • 商品開発

  • コンテンツ制作

  • 顧客体験の改善

などに投資します。

月10時間の捻出でも、年間では120時間となり、大きな差を生みます。



実務で使える「やらないことリスト」例

やめる

  • 手動データ入力

  • 不要な二重管理

  • 過剰な手動確認

自動化する

  • 受注処理

  • 在庫更新

  • 配送処理

アウトソースする

  • 物流

  • カスタマーサポート

  • 広告運用

自社で集中する

  • 商品開発

  • ブランド構築

  • 顧客体験改善



まとめ:人材不足は「やらないこと」で解決できる

成功しているEC事業者に共通しているのは、「すべてをやる」ことをやめた点です。

  • システムに任せる

  • 外部に任せる

  • やらないと決める

この3つの判断によって、業務負担を減らしています。

人材不足の時代において重要なのは、人を増やすことではなく、業務を減らすことです。

まずは月10時間の捻出を目標に、「やらないことリスト」を作ることから始めてください。

それが、省人化された持続可能なEC運営への第一歩になります。


参考文献


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